以前もこのブログでは他人との距離感を測量に例えたことがある(注1)。ただ、この時の書きぶりだと、二点間の差異を計測しているだけのような気がする。しかし、基準点が真価を発揮するのは三角測量を行うときだ。
三角測量において、「第三の点」はとても大切だ。
なぜなら、二点間の距離や高さを測るためにはその二点だけでは、正確に測ることができないためである。障害物がないところならレーザーや巻き尺で測ることもできるかもしれないが、障害物があったり、距離がある二つの点の相対的な位置関係を捉えるためには互いの位置から見える「第3の点」との距離を測り、三角関数によって二点の距離を測る必要がある。
「第3の点」としてよく使われるのが三角点なのである。
三角点は山の頂につくられることが多い。山頂は平地の至る所から目視できるためだ。
人間同士の距離感をはかり続けるためにも三角点が必要なのだと思う。
共にまなざす同じ点がある時、適切な距離を保つことができる。
山頂を見ていなければ、互いに近づきすぎていたり、思ってもない方向に進んでしまう。遭難してしまうこともあるだろう。
私は遭難している。
もう一つ、三角測量の重要なポイントは、「同じ」三角点を参照しなければならないというところだ。
三角点は無数にあるが、同じものを参照しなければ四角測量になってしまい、適切な距離ははかれない。だから、事前にどこを三角点として採用するのかを決めておく必要があるのだ。
私はそんなことも忘れていたのか。
もしくは、霧が濃くて山が見えなかったのか。
秋晴れの空の下ならば、三角点を見定めることができるのだろうか。
そうであってほしいと祈りつつ、山を見る。
注1:
測量や地図への興味はおそらく、私の父が測量士だった事とも関係している。週末のたびに各地の一等三角点を見にいくために、山に連れられていた。
家には古い地形図が散乱しており、暇な時は地図を見ながら、いったことのない街の生活を夢想したり、いったことのある街の情景を地図を見ながら思い出すのが好きだった。
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